新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
ぼんやりと、おばあちゃんの笑顔を思い浮かべてていた私は、根岸さんの言葉に現実へと引き戻された。
私は一瞬の間を開けてから、照れながらもコクリと小さく頷くと、手元のグラスの汗を拭う。
「……はい。彼に出会うまでの私は……日々の生活を守るのに精一杯でした。自分の夢とか恋とか、そういうものは全部、 " 余計なもの " だと決めつけていたんです」
言いながら小さく笑えば、汚れたパンプスを履いて俯く自分が昨日のことのように思い出された。
おばあちゃんを守るためには夢なんて捨てなきゃいけない。
恋なんてしてる場合じゃないし、そんな時間を作ることすら不毛だと、当然のように考えていた。
" 今以上の何かを望んではいけない "
とにかく私は、日々を平穏に過ごすことに精一杯だったんだ。
「でも、それが結局、おばあちゃんに引け目を感じさせる要因になっていて。私も微妙な気持ちのほつれを取り繕うのに必死になって……今思えばお互いに本音を言えなくなって、お互いに気を遣いあっていました」
幼い頃からずっと私をそばで見てきてくれたおばあちゃんは、誰よりも私の夢を応援してくれていた。
それなのに自分のせいで私が夢を捨てることになって……おばあちゃんは酷く心を痛めていたのだ。