新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
──う、嘘。
「み、みな──っ‼」
言いかけて、慌てて口を噤んだ。
間一髪だ。こんなところで『湊』と彼を呼んだら私たちの関係が露呈してしまう。
けれど、そんなふうに声を上げてしまいそうになるのも仕方がない。
視線の先には何故か出張中である湊の姿があって、狼狽えずにはいられなかった。
家を出たときと同じ、チャコールグレーの品の良いスリーピーススーツを着ている。
ほんの少し乱れた髪を掻き上げた彼は、駆け寄ってきた店員さんに一言二言なにかを告げると、ぐるりと店内を見渡した。
「……っ!」
次の瞬間、視線と視線が交差する。
どうしてここに湊が──と、改めて思った瞬間、彼は真っ直ぐに、私たちのテーブルに向かって歩いてきた。