新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「……桜ちゃん。明日は、お仕事でしょう?」
ぽつり、と。
そう言ったおばちゃんは、看護師さんから今が日曜日の夜であることを聞いたのだろう。
「明日はお仕事なんだから……今日はもう、早くお家に帰らなきゃ」
次の瞬間、涙が溢れた。
こんな状況でも、おばあちゃんは私のことを心配してくれている。
「おばあちゃんは、そんなこと気にしなくていいんだよ……っ。だって私が、おばあちゃんのそばにいたいだけだから……っ」
そばに寄って温かい手を取って、素直な気持ちを打ち明けた。
するとおばあちゃんはゆっくりと私へ視線を移すと、本当に一度だけ、ゆるりと首を横に振った。
「……そんなことをされてもね、私はちっとも嬉しくないわ」
「え……」
「桜ちゃんは仕事に行きなさい。それが、社会人としてのあなたの責任でしょう」
今にも消え入りそうなほど小さな声なのに、おばあちゃんの言葉は重く、力強かった。
それはまるで、小学生の頃……。宿題をやらずにテレビを見ていた私を叱るようなそれと似ていて、どこか懐かしさも覚えてしまう。