新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「……風呂、一緒に入ろうか」
スルリと服の裾から入ってきた手が悪さをした。
湊と一緒に暮らし始めて早数ヶ月──私たちの関係は、未だにプラトニックなままだった。
一度は覚悟を決めて、彼に抱かれたいと思った。
けれど機会を逃してしまってからは……彼は何故か最後までしてくれないのだ。
『桜のほうから俺に抱いて欲しいと言うまで我慢比べしようか?』
二ヶ月前の宣言通りならば、湊は私からの言葉を待っているのかもしれない。
だけど経験のない私にはハードルの高すぎることで、『抱いてほしい』なんて口が裂けても言えそうになかった。
「……背中を流すだけなら、しますよ?」
それでも精一杯……。精一杯の、意思表示をしてみる。
すると湊は決まって何かを堪えるように押し黙ったあとで切なげに笑うと、私の髪をとても優しく撫でるんだ。