新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「ハァ……とりあえず無事に終わってよかったっすね」
未だにバクバクと高鳴る胸に手を当てていると、サツマちゃんが堪え兼ねたように息を吐いた。
「それにしても、あそこで更にGIFTシリーズの宣伝をぶち込む社長はさすがでしたね〜。見てるこっちはハラハラしたけど、アレを聞いたらイケメン社長な上に愛妻家だった!なんて、イメージ右肩上がりですよ、絶対」
「私もビックリしたけど、奥さん羨ましいと思ったっす」……なんて続けたサツマちゃんを前に、返す言葉に迷ってしまった。
「根岸さんは怒ってるけど、最終的には良い宣伝になったみたいだし、ほんとに良かった──」
「──桜、行くぞ」
けれど、そう言いかけたところで突然後ろから、腕を強く掴まれた。
反射的に振り向けば、そこには今、取材を終えたばかりの湊が立っていた。
──今、彼は私を「桜」と呼んだ。
普段は社内では絶対に、私をそうは呼ばないのに……。
「桜……って、え? ええ?」
困惑の声を溢したのは隣にいたサツマちゃんだ。
当然だろう。
一体、なにがどうして──と困惑しているのは私も同じで、なんと返事をしたらよいのかもわからなかった。