新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
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「ごちそうさまでした」
久しぶりに二人でゆったりと食事を済ませて、両手をあわせる。
以前から思っていたことだけれど、ひとつひとつの所作が綺麗な湊は食事のときにも育ちの良さを感じさせた。
「洗い物やってる間に、湊はお風呂に入ってて」
言いながら食器をキッチンに運ぼうと立ち上がった。
けれどそんな私の手を──不意に、湊の手が捕まえる。
「湊? どうしたの?」
「……桜に、大事な話があるんだ」
「大事な話?」
どこか不安げで、それでも真っ直ぐに私を見る彼の瞳があまりに真剣だったから、私は頷く以外の返事ができなかった。
大事な話ってなんだろう。
おばあちゃんの話か……それとも何か、仕事に関する話だろうか。