新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「前に……桜が、ネックレスについて聞いてきたことがあるだろう?」
「ネックレスって……」
「ああ。桜がいつも身につけてる、このネックレスについてだ」
私の胸元で光っている桜のチャームのついたネックレス。
以前、このネックレスに似たデザインのLunaのジュエリーを見つけて、私は湊に聞いたのだ。
あのとき湊は……私に尋ねられ、わかりやすく動揺していた。
そして、『それは確かに、Lunaのネックレスだ』と断言したあとで、『このネックレスを作った人間を、よく知っている』と言っていた。
「このネックレスが何か……」
けれどそのあと、おばあちゃんの容態が急変し、結局今日の今日までその話については聞けないままだった。
「そのネックレスは、本デザインの元となる前の試作品なんだ」
「試作品?」
「そう。当時、Lunaに勤めていたデザイナーの一人がデザインして作った、この世にたった一つしか存在しないものってこと」