新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
──以前、Lunaに勤めていたデザイナーが。
思いもよらない答えに、私は固まったまま動けなかった。
だって、どうして。
あのデザイン画が描かれた頃のものであるとするなら、それは湊が生まれ変わらせる以前のLunaに勤めていたデザイナーの話ということになる。
そんな人が作ったものがどうして今、私の胸元で光っているのだろう。
「なんで……」
「そのデザイナーに、子供の頃の俺はすごく可愛がってもらってた」
「え?」
「子供の頃、俺はよく当時のLunaに通ってたんだ。今思うと仕事の邪魔だっただろうとも思うけど、特に新しいジュエリーが産みだされるジュエリーデザインの仕事に興味津々でさ。それで学校が終わると、その人のところによく顔を出して、構ってもらっていたんだ」
そのデザイナーの名前は、トウジさんと言った。
それが下の名前であるのか苗字なのかはわからないけれど、トウジさんの話をする湊の目はどこか寂しげで、優しかった。