新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「トウジさんは、俺が現会長の息子だからとかそういうの関係なく、可愛がってくれて。忙しい両親の代わりに休みの日も釣りに連れて行ってくれたり、本当に良くしてくれたんだ」
Lunaの親会社でもあるWith Weddingの社長を勤めていたであろう湊のお父様は、湊が幼い頃から忙しい人だったのだろう。
お母様もそんなお父様を支えるのに精一杯で、湊のことまで手が回らなかったのかもしれない。
「それで、ある日、そのネックレスを見せられた。すごく綺麗なデザインだ──って言ったら、トウジさんが俺にくれるって言ったんだ」
湊の話によれば、ネックレスの微妙なデザイン変更が決まって、新たにデザイン画を描き直すことになったからなのだという。
「本当はダメなことなんだけど、お前には特別だ……って、トウジさんがくれたんだ」
その頃のLunaのジュエリーはWeddingジュエリーに特化した高級路線のものばかりだった。
だから、どこかカジュアルさのあるデザインのネックレスは、上司にデザイン変更を言い渡されてしまったのだろう。
「そのとき、トウジさんが言ってたんだ。いつか、誰でもLunaのジュエリーを気軽に手にとって、オシャレとして身につけるような時代がくればいいのに……って。俺はその言葉を、今でもハッキリと覚えてる」
そして、その時代を湊は実際に創り上げた。
ああ、そうか──。
湊がLunaをどうしても産まれ変わらせたかったのは、トウジさんとの約束があったからなのだ。