新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「その、トウジさんは今は……」
「……亡くなった」
「え……」
「事故で亡くなったんだ。……高速道路のトンネル内でのトラックの横転事故に巻き込まれた。──桜も、知っている事故だろう?」
「……っ、」
思いもよらない湊の言葉に、一瞬、息の仕方を忘れた。
──だって、その事故は。
私の両親の命を奪った事故と、同じだったから。
「どう、して……」
「あの事故が起きたとき、俺もあの場にいたんだ」
「え……」
「トウジさんに釣りに連れて行ってもらった帰りだった。俺は……子供だからって理由と軽症だったってことで救急隊にすぐに連れ出されて死なずに済んだけど、トウジさんは助からなかった」
咄嗟に口元を押さえて息を呑む。
だってまさか、こんなこと。
私は両親の事故のことを詳しく湊に話したことはなかった。
だから偶然なのだろうけど、まさかその事故の現場に湊も居合わせていただなんて思いもしない。