新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「通夜には間に合わなかったけど、葬儀が執り行われることを親父のつてで知って、連れて行ってもらった。そこで俺は──あの夫婦に子供がいたことを知ったんだ。当時の俺よりもまだ小さくて……可愛い、女の子だった」
両親の死を受け入れられず、公園で一人、泣いていた。
ブランコに乗って、お父さんとお母さんはどこに行ってしまったんだろうと考えた。
迎えに来るって言ったのに。
待っててねって言ったのに、二人は私を迎えに来てはくれなかった。
──そんなときに現れた、名前も知らない男の子。
彼は私に私の名前と同じ桜のチャームのついたネックレスを手渡して言ったのだ。
『……今はまだ、こんなことしかできないけど。でもいつか必ず、今度は僕が君を助けるから』
「……二度目の再会は、本当に偶然だった」
湊の言う二度目の再会とは、卒業制作展でのことを言っているのだろう。
けれどその時その場にあったのは私が造った作品だけで、私は彼には会っていない。