新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない


「……本当は、会わないほうがいいんじゃないかとも考えた。桜と俺は別々の人生を歩んでいて、桜はきっと、俺のことも覚えていないだろうと思ってたから」


だけど、ジュエリーが再び私たちを結びつけた。

COSMOSの運営者の名前を知って、もう居ても立ってもいられなかったのだと湊は続けた。


「近衛に、なんとかして捕まえろと言った。どうにかして──彼女とのアポイントをつけるようにと頼んだ」


何かの拍子で、両親の事故と湊が関わっていることを私が知っていたら、自分の名前を出すのは警戒されるだろうと思った。

だから、最初のメールのやり取りとアポイントは、近衛さんの名前だったのだ。

もちろん、そうでなくとも突然Lunaの社長である湊から連絡がきていたら、私は恐縮してあの場には足を運んでいなかったかもしれない。

そして結局……湊は私の前に現れた。


「桜と会って、桜がそのネックレスをしているのを見たら……もう、どうしようもなかった。その上、桜と話して桜の言葉を聞いて……どうしたって俺は、桜が欲しくなったんだ」

「湊……」

「あのとき桜は俺の誘いに対して、Lunaのためにも中途半端に介入はしたくないと言った。それはLunaのことが好きだからって……。そう言われて、もう気持ちを抑えられるはずがない。そうでなくとも、ずっと会いたくて、守りたかった相手だったのに」


涙の雫が一筋、頬を伝って零れ落ちた。

そしてそれを湊が優しく、指先で拭ってくれる。

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