新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「二度目の再会については近々、桜にきちんと話そうと思っています。ですが、ご両親の事故のことについては……彼女の心の傷を蒸し返すかもしれないということを考えたら、話さないほうが良いのか、迷っています」
何を言っても動じ無い秋乃さんを前に、ほんの少しの弱音も溢れた。
それでも秋乃さんは最後まで黙って、俺の話に耳を傾け続けてくれたのだ。
──桜のご両親も、とても立派な方たちだった。
自分たちの命が危ない状況でも、見知らぬ子供である自分を叱咤し、危ない場所から遠ざけようと懸命に声を掛けてくれた。
「だけど俺は、彼女に本当のことを黙っていることを、心苦しくも思います」
「……大丈夫よ。必ずいつか、あなたの想いは伝わるから」
けれど、続けた言葉に秋乃さんは優しく力強い声を投げた。
思わず自分の手元に落としていた視線を上げれば、花が開いたように秋乃さんは笑った。
「桜ちゃんのこと、どうぞよろしくね」
渡された言葉には大きな愛が含まれていた。
応えるように力強く頷けば、胸に刺さった楔がひとつ、抜けたような気がした。