新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「だけど桜ちゃんも疲れているだろうし、無理して毎日来てくれなくてもいいのよ?」
「何言ってるの。私が、おばあちゃんに会いたいから、会いに来てるだけだもん。それに私が会社でしてる仕事なんて大したことじゃないし……。全然疲れてないから、大丈夫だよ」
ケロッと笑いながら答えると、おばあちゃんは困ったように小さく笑った。
小学校に上がってすぐの頃、両親を交通事故で亡くした私にとって、祖母は唯一の肉親だ。
──これから、どうすればいい?
遠い日の記憶の片隅で震える幼い私を救ってくれたのは、とても優しく温かい声だった。
『桜ちゃん、大丈夫よ。今日から、私があなたを守るから。一緒に、家に帰りましょう』
そう言って抱き締めてくれた祖母の温もりを、私は生涯忘れない。