夏恋(ナツコイ)!
「だから、浩平のことはもういいから、俺との話をしてくれないかな」
見つめる眼差しに、考え込む。
私、そんなに浩平のことばっかり話してたっけ……?
「……気づいてなかった? メッセージ送り合ってる時から、夏季ちゃんあいつのことばっかりだけど」
指摘をされて、
「えっ、そうですか…?」
と、信じられないような思いで尋ねた。
「そう、やっぱり俺よりあいつの方がいいとか?」
「えっ、違いますよー! 浩平なんて恋愛対象にならないから!」
ブンブン手を振って否定をすると、
「本当になの?」
と、確かめられた。
「本当にですよ。だって、あんな奴と恋愛なんか……」
そこまで言いかけて、どこかもやもやするようでふと黙り込む。
そう言えば、出かける時にも『後で可愛さに気づいたって、遅いんだからね』とか思ったよね……。
……なんでだろう?
考えてみたけれどわかるわけもなくて、無言のままお茶を飲み込むと、
「じゃあ、これからはもう浩平のこと話すのは禁止ね。今日は、せっかくの泊まりなんだしさ」
言われて、「ああ、はい…」ともやもやしつつ頷いた……。