夏恋(ナツコイ)!
……3人になって賑やかな繁華街の通りを歩きながら、
「だけど雅和おまえって、こんなに趣味悪かったけか?」
「誰が趣味が悪いっていうのよ!」
言う浩平を睨みつけて、
「いや夏季ちゃんだっけ、十分かわいいと思うけど。浩平の方が趣味がおかしいんじゃないのか?」
雅和さんに「うんうん」と頷く。
「だってこの顔だぜ〜」
と、いきなりほっぺたを手でつままれて、
「気やすく触らないでよ!」
思いっきり振りほどく。
「ほら、こんなにかわいくもないしさ〜女としてどうなんだよって感じだろ? 雅和なんて男子校でもモテてたのに、なんで夏季みたいなのがいいんだよ?」
「えっ? 男子校でモテてたって、もしかして男子に?」
ふと浮かぶ疑問に、
「…バカか、おまえは」
と、浩平に呆れたように返された。
「女の子に決まってんだろ。こいつよく通学途中にラブレターとかもらってたんだよ、な?」
「ああ、そんなこともあったな」
「文化祭とかでも、お客さんの女の子たちにモテモテだったしなー」
思い出すように話す浩平に、
「おまえだって、割りと人気あった方だろ?」
雅和さんが言い出して、
「まさか、浩平が?」
口にしたら、「まさかって、なんだ?」と、睨み返された。