夏恋(ナツコイ)!
「ふんだ、さっきはそっちがひどいこと言ったんだし、これでおあいこだからねーだ!」
「おあいことかあるかーこのバカ女!」
掴みかかってくるのを避けて、雅和さんの後ろに隠れると、
すかさず身体でガードしてくれて、キュンとしそうにもなる。
「……仲いいみたいだけど2人とも。本当に、彼女と付き合っちゃってもいいのか?」
言われて、一瞬黙って私の方を見て、
「あったり前だろう〜」
言うと、
「あげるあげる。っていうか、その前に俺のもんだった時もないけどな!」
と、浩平はけらけらと笑った。
「ほんっと憎たらしいわ、浩平って!」
いい加減頭にきて、「もう雅和さん一緒に帰りましょうよ」と、先に歩き出した。
「ああ、俺はいいけど…でも、置いてきていいのか? あいつ…」
と、後ろを振り返るのに、
「いいんですよ、あんな奴!」
聞こえるように少し大きい声で言うと、
「ばーか、夏季!」
と、大声が飛んできた。
ああ、もうほんとムカつくー。バカはそっちだし、浩平!!
こうなったら、雅和さんと本気で夏の恋始めちゃうんだからねーだ!