溶けろよ、心




町田くんのクラスに入る。

さっき言ってた通り、教室には誰もいなかった。


「俺の席はね…ここっ」


町田くんは、机と机の間を走り抜けて、窓際の席を指した。


なんかもう、好きだ。


無邪気な笑顔にさっきまでの負の感情はすっかり消えた。



「1番前じゃん」


「そうだよ〜、最悪だよ」


町田くんは嫌そうな顔をしながら自分の席に着く。

私はその隣の席を選んで座った。



横を見ると、こっちを見ていた町田くんと目が合う。

見つめ合って、微笑み合う。

すごく、幸せを感じた。



「同じクラスだったらよかったのに」


ふと、そう思ったので言ってみた。

気持ちがバレるんじゃないかって、ドキドキした。




「俺もそう思う」


町田くんはくしゃっと笑った。


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