溶けろよ、心



「それよりさ、休みの日なのに呼び出してごめんね」


私は顔の前で手を合わせて、町田くんに謝った。



「…今日って言ったの俺だよ?」


町田くんははっきりとそう口にして、先をスタスタと歩いて行ってしまう。


私は小走りで町田くんを追いかけた。


「ねえ、怒っ…」


「てない。ごめん」


町田くんは眉間にしわを寄せた。

なんとなく、言ってしまった言葉を後悔しているように見えた。


「俺が今日って言った。真由が謝ることじゃないから」


こんな些細なことで、空気が悪くなるのはなぜだろう。


前よりもっと町田くんのことを考えて、気を遣って話しているのにどうしてなんだろう…。


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