龍使いの歌姫 ~神龍の章~
懐かしの小屋へ
レインが十九才の誕生日を迎えた今日。

アルとゼイルと共に、レオンと過ごした小屋へと向かおうと支度をした。

四年ぶりに出る外は、一体どうなっているのだろうか?

レオンは、あの小屋にいるだろうか?

「よし、私は何時でも出れるよ!」

「僕も支度は終わった」

レインとアルは支度が終わると、ゼイルの待っている花畑へ向かう。

『兄貴ー!姉貴ー!』

二人の姿を見付け、ゼイルが翼を動かす。

『レイン!アル!』

「ティア?!」

ゼイルの側には、ティアがいた。

「何でティアが?」

レインはティアをここに置いていくつもりだった。

『ティアも一緒に行きたいんだってさ』

『ティアもいくの!』

「………困ったなぁ」

レインは眉を下げて困惑する。

「ティア?私達はこれから、私と師匠が過ごした小屋へ行くけど、人がいないとは限らないんだよ?ゼイルは人に化けられるからいいけど……」

ゼイルがアルと共に外へ出れるのは、アルの相棒だからという理由もあるが、一番は変身能力を持っていることだ。

龍はすべての動物から出来ているとも言われており、カラスや他の生き物に姿を変えることが出来る。

特に、魔力の高い龍は、一番難しい人間の姿に化けられるのだ。と言っても、力や能力はそのままなので、人間に化けていても、火を吹いたり、岩を持ち上げることも出来るが。

ゼイルは、アルと見回りをしている時、場合によっては人間に姿を変えていることが多い。

だから、人里におりても怪しまれない。

(でも、ティアは喋れるようにはなったけど、変身はまだ出来ないだろうし)

『ティアも人間になったらいいの?』

「でも、人間に変身するのって大変なんだって」

レインがそう言うと、ゼイルは頷く。

『魔力の消耗が激しいからな。一回人に変身すると、元の姿に戻るための魔力をためなきゃいけないから、時間がかかるんだよな』

『出来るの!ティアも人間に変身するのー!』

ティアが人間に化けられれば、ティアに降り注ぐ危険も避けられるかもしれないが。

「……でも」

「言っても無駄だろ」

諦めろと言う風にアルはレインを見る。

「……じゃあ、今日中に変身できる?」

『頑張るの!』
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