オオカミ御曹司、渇愛至上主義につき
「友里ちゃん、これ気に入った? だったらこっちも好きかも」と、松浦さんが追加で注文してくれたのは、ササミとチーズ、それに大葉が包まれた春巻きだった。
これも隠し味に梅肉が入っているから、豚バラ巻きと材料は大きく違わない。
なのに、新鮮においしく感じるのは、パリパリに揚げられた春巻きの皮のせいだろうか。
それを口に出して聞くと、松浦さんは「それもあるかもね」と笑う。
「あとは、分量っていうかバランスの問題かな。豚バラ巻きの方はチーズは隠し味程度だったけど、春巻きの方はササミと並んでチーズがメインだし。口に入れたとき、最初に感じる味が違うのかも」
「なるほど……松浦さん、料理詳しいですね。まさか自分でもするんですか?」
さっきからやけに詳しい。このお店は雰囲気がいいから、女の子を口説くときに使っていて、だから料理に関しても自分の城のように詳しいのかと思っていたけれど、それだけではないように思える。
だから聞くと、松浦さんはビールを飲みながらうなずく。
「そりゃあね。俺、ひとり暮らしだけど、昨日言ったとおり、他人の料理がダメなんだよ。そうなるともう自分で作ったほうが楽だし」
「へぇ……じゃあ、いつも自炊してるんですか?」
「週の半分くらいはね。店で作ったものとかはまぁ食べられないこともないから、残業で遅くなった日とか気が乗らない日は外食で済ませたりテイクアウトしたりしてる」
私の取り皿が空いたのに気づいた松浦さんが、料理を適当にお皿に載せてくれる。
自然に見える行動は押し付けがましくなく、こういう気遣いが普通にできる人なんだなぁと思いながら「すごいですね」と返す。
「私もひとり暮らしですけど、ほとんど毎日買ってきたものばかりですし。松浦さんの部署は忙しいのに、その上自炊なんて……もしかして、料理だけじゃなくてひと通りの家事ができたりします?」