不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 晩餐が終わり、入浴も済ませてナイトドレスを纏う。

 侍女たちは『おやすみなさいませ』の挨拶をして退出していった。ベッドへ入って眠るだけになったまゆこは、暖炉の近くに立って燃える火を見つめている。

 昼間は、羽織るものがなくても寒さを感じずに外を散歩することができた。

 冬の到来を示すように、夜はかなり寒くなる。

 エルマが言うところによれば。

『ゲルツ王国は、大陸の北側にありますが、その中でもバーンベルグ領は北方に位置しています。寒くなり始めるとあっという間に雪が降りますよ』

『雪……。たくさん降るの?』

『はい。王城のある王都はもっと北よりになります。魔法闘技は雪が降る中でやることになるかもしれませんね』

 現国王はますます衰弱されてきたという。障壁が穴だらけになっている。障壁自体が失われるのは時間の問題だとルースが説明してくれた。

『早急に障壁の修復をせねばなりません』

『力のある者が全員で行ってやるというわけにはいかないの?』

『そういう類のものではないのです。古に結ばれた大地との契約が障壁を支えていますから、次代の王が約束の地で契約を結び直すことで、障壁は保たれるのですよ』
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