不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 まゆこは遠慮しながらも言った。

『わたしの想像だけで言うなら、王はまるで生贄のようだわ。契約を結ぶことで、王になにか問題が起こるのではないの?』

『結んだあとに個人的な影響が出たという話はありません。ただ、契約の場所へ辿りつくのがそもそも難しいうえに、結び直す段階で魔法力が試されるようです。その時点で、もしかしたら……』

 もしかしたら生命の危機という可能性もあるのだろうか。

 ルースはまゆこの危惧に対して、薄く笑っていなすだけだった。

『説明があいまいで申し訳ありません。詳細は私にも分からないのです。障壁がある場所へ行ったことはないので。普通の者が行けるところではないのです』

『……国王は国を守る人。そう思えばいいのね』

『そうです』

 ウィズ世界の事象を理解するのに、たった二週間ではとても足りない。

 どれほど聞いても、全体像をおぼろげに掴むくらいが精いっぱいだ。
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