不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 ――ジリアンの部屋を探すのはどうしようか……。

 動き出してしまった以上、やるだけのことはしようと思う。

 まゆこは書斎を横切り、もう一つのドアの前に立った。ノブを回したが、鍵が掛かっていて開かない。

「んー……。鍵ね、カギ。試してみよう」

 ジリアンにもらった鍵を入れて回してみた。回る。ガチャリと音がした。

「――開いた」

 ドアを開けて中に入ると、驚いたことに、非常に広い部屋となっていて中央に大きなベッドがあった。寝室だ。

 ベッドわきに立っていた人物は、まゆこが入ってくるのを待っていたかのように声を掛けてきた。

「話でもあるのか? 夜中の訪問は、あまりお勧めできないぞ。特に貴婦人が男の部屋へ忍んで行く意味など一つしかない――と考える連中は多い」

 ジリアンは光沢のある黒いガウンを着ていた。すべりがよさそうだから絹だろう。

 いつもより乱れた前髪が目元にばらばらと掛かっていて、ひどく艶めかしい感じがする。
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