不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「ここはあなたの寝室なの? 内廊下を辿ったらこの部屋に着いたのよ」

「公爵と公爵夫人の寝室はどこかで繋がっていないとまずいだろう?」

「あ……!」

 その通りだ。最初に『公爵夫人の部屋』と説明されたのに、あまり突き詰めて考えなかった。迂闊だった。

「ごめんなさい。間違えました」

 ジリアンと話をしたいと考えていたにも関わらず、まゆこはぐるりと身体の向きを替えて、入ってきたドアから出ようとする。

「待て。こんな夜中に走って逃げるな。危害は加えないと何度言ったら分かる。私を探して来たのは、あと一晩で王城へ向かうから、話をするならいましかないと考えたからだろう? 違うのか?」

 その通りだ。まゆこは足を止めて振り返る。
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