不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 ジリアンのまなざしが揺らぐ。右手を顎のあたりにあてて、目を瞬いた。かなり迷っている様子だ。

 窓枠が夜風でカタンと音を立てた。それを合図に、彼は話し始める。

「呪いの始まりは、二百年前にさかのぼる。当時のバーンベルグ公爵が妻を裏切った。妻は魔女にも匹敵するほどの魔法士だったんだ。強力な魔法力を使い、命をなげうってバーンベルグ家を滅ぼそうと呪いを掛けた」

 そこで言葉は途切れ、ジリアンは言い及んだ。

 まゆこは黙って聞く姿勢を崩さない。

「呪いは血脈の中に埋め込まれた。バーンベルグ家に生まれる男子は、生まれ落ちた瞬間からその呪いに捕らわれ、死ぬまで逃れられない。魔法力もそれで縛られる」

 ふっと頭に閃いた。

 ……遺伝子になにかを加えたということかしら。そんなことまで魔法でできるの?
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