不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 自然界には〈番〉として、比翼の鳥、連理の枝となって生きるものたちもいる。しかし、彼らは、初めに相手を取りあっても、戦いに負けると他を探しに行ける。

 他の者を求めることができないのなら、諦めることもできなくなる。ただひたすらに、その者だけを求める。どれほどの犠牲を出そうとも。

 まさに呪いだ。

「生涯を掛けて探しても〈ただ一人〉が見つからない場合は、孤独の苦痛の中で、誰とも結ばれずに生を終える。バーンベルグの男子は、他の女性を求めることはない」

「……」

「愛する者が早逝したら、次の伴侶を選ぶことはなく、子をもうけることもない。バーンベルグ家は、断絶の危機に何度も見舞われながらここまできた」

 まゆこはこくりと喉を鳴らした。

 ジリアンは女性に慣れていないと言った。女嫌いではなく、〈ただ一人〉がいなかったからなのだ。

 呪いによって、どれほどの者が運命を狂わせたのだろう。
< 173 / 360 >

この作品をシェア

pagetop