不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「愛する者を見つけてしまうと、身食いに近いような過酷な激情に身を任せることになるが、呪いはそこで成就する。成就すれば、縛りも解けて力を解放できる」

 相手の気持ちはどうであれ、出逢えば愛することになる。

 相思相愛になれなくても構わない。相手を見つけるだけで、ジリアンは全力で戦うことができるようになり、ゲオルグにも勝てる芽が出てくる。

 そして見つければ放せなくなる。諦められないとはそういうことだ。

「……愛する者……。決して手放せない者」

 まゆこは分かってしまった。

 ――わたしは、ジリアンの〈ただ一人愛する者〉ではないんだ。

 彼の手助けをする者とは、彼にとって〈ただ一人愛する者〉だった。

 ジリアンは、まゆこを元の世界へ帰すと約束した。なにがなんでも欲するという気持ちがないから、約束できたのだ。

『手助けをしてくれる者を呼んだが、マユコではないようだ』

 その言葉に集約されていた。
< 175 / 360 >

この作品をシェア

pagetop