不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 いま、目の前でもはっきり言われる。

「マユコの申し出は嬉しいが、私の手助けはできない」

 いつの間にか項垂れるようにして床を見つめていた。

 もう一つ分かったことがある。うっすらと気が付いていても、自分では認めずにいたことが。

 ジリアンが――好き。

 想いは報われないと、ここまではっきりしていては、口にはできない。ジリアンの重荷になるだけだと分かるから、言えない。

 彼女はかろうじて言う。

「……分かった。話し難いことなのに、言ってくれてありがとう。極秘なんだよね。誰にも言わないから安心して」

「頼む。二百年も前からのことだから気が付いている者もいるだろうが、表立って知られるのは避けたい。魔法闘技からバーンベルグ家を外すと言い出す輩も出る」

 無言で頷く。エルマの声が思い出された。
< 176 / 360 >

この作品をシェア

pagetop