不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
ほぅとため息が出た。息は白くなって消える。冬に入っているのだ。
ラクダ色のコートにはフードもついている。王城は、この城よりも北寄りだ。
ジリアンがやって来てまゆこの隣に立った。
「遅くなった。待たせてしまったか? やはり部屋へ迎えに行くべきだったな。寒かっただろうに」
「コートがあるから寒くはないわ。平気。わたしが庭へ行きたかったから、迎えは要らないと言ったんじゃない。ジリアンは少し過保護ね」
いつも通りに言えているだろうか。彼の姿を見るだけでどきどきと鼓動が跳ねる。声を聞くだけで、切なさで胸が震える。
大切にしてくれている。それは感じる。
けれど、自分は彼の〈ただ一人〉ではない。ジリアンがまゆこを大切に扱うのは、いずれ帰る客だからだ。呼んでしまった責任を感じているに過ぎない。
どれほど強い視線で見つめられても、それを忘れてはいけないのだった。
「それならいい。ルース、準備は整ったな。出発するぞ」
「はい」
ラクダ色のコートにはフードもついている。王城は、この城よりも北寄りだ。
ジリアンがやって来てまゆこの隣に立った。
「遅くなった。待たせてしまったか? やはり部屋へ迎えに行くべきだったな。寒かっただろうに」
「コートがあるから寒くはないわ。平気。わたしが庭へ行きたかったから、迎えは要らないと言ったんじゃない。ジリアンは少し過保護ね」
いつも通りに言えているだろうか。彼の姿を見るだけでどきどきと鼓動が跳ねる。声を聞くだけで、切なさで胸が震える。
大切にしてくれている。それは感じる。
けれど、自分は彼の〈ただ一人〉ではない。ジリアンがまゆこを大切に扱うのは、いずれ帰る客だからだ。呼んでしまった責任を感じているに過ぎない。
どれほど強い視線で見つめられても、それを忘れてはいけないのだった。
「それならいい。ルース、準備は整ったな。出発するぞ」
「はい」