不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 先頭の馬車の扉のところでジリアンに手を伸ばされ、設置された台座に誘導されて乗り込む。

 公爵専用馬車の扉には、バーンベルグ家の紋章が刻まれた金属板が埋め込まれていた。内装もかなり豪華な設えになっている。

 かといって、中は他の馬車とさほど変わらない狭さだ。

 乗り込むときに裳裾を上手く収めようと思えば両手で抱えるしかないが、デイジーによると、それは貴婦人にはあるまじき仕草だそうだ。

 なので、摘んで上げて、転ばないよう必死にバランスをとりながら乗り込む。

 まゆことルースが並んで座り、対面にジリアンが一人で腰を掛けた。窓から見える大仰な一行と共に動き出す。

 これだけの大所帯で三日も移動するのかと思っていたら、先頭の馬車から順に浮き上がり、空を駆けることになった。

「えっ、うそっ、すごい……っ。飛んでる……っ」

 歓声を上げた。
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