不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 反射的に高鳴る鼓動は、自分では制御できない。なだめるには、他のことを考えるのが一番だ。

 たとえば、ゲルツ王国のこと。

 王城は場所と建物であり、中に、政務と財務と国防を担う国家機関に、国王の住居、そして王と貴族たちで作る外交を主目的にした王宮社交界がある。

 国防を担うのは、何万という兵士とそれを動かす組織だが、別働隊として十数人の魔法士軍団があるらしい。

 王宮社交界は、王が主催となって舞踏会などの場が提供される。陰謀もあれば権謀術策が渦巻くうえに、貴族たちの高いプライドが人間関係を掻き回す。

 不愉快で理不尽なことが多いところ――と、これはジリアンも言っていたし、ルースも語っていた。

 王城へ行くならそういったことも覚悟していたが、婚約者を名乗るだけで回避しやすいならそれに越したことはない。
< 187 / 360 >

この作品をシェア

pagetop