不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 ルースが付け加える。

「バーンベルグ公爵様のご婚約者なら将来の王妃殿下候補ですから、さすがに生命の危険を伴う嫌がらせは避けるでしょう」

 生命の危険……。まゆこはひきつった笑いを浮かべた。

 ルースは、間諜の頭として、バーンベルグ家の秘密を細かく知っている者だ。

 もしかしたら、一昨日の夜中にまゆこがジリアンの寝室へ入ったのも知っているかもしれない。

 にこにこと笑う明るい態度のうしろで、情報を一手に握ってジリアンに仕えている男だ。

 彼なら横にいても構わないだろうと、まゆこはジリアンに自分の懸念を語る。

「わたしはそれで助かるからいいけど、ジリアンはいいの? もしも、あなたの〈ただ一人〉が現れたら、誤解されてしまうでしょ」
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