不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「ね、ジリアン。人があまり多くて酔ってしまったみたい。外へ出てもいいかしら。あの林へ行ってみたいの」

「私も一緒に行こう」

「ジリアンは魔法闘技が待っているでしょう? これから一週間は夜の予定をこなしてゆかなくてはいけないし、王城内で魔法が使用禁止なら訓練もできない。休むのが一番いいと思うわ」

「おまえから離れるわけがないだろう?」

 どきりとした。まゆこはジリアンを見つめる。

 彼は口元に笑みを佩かせてお茶を飲んでいる。薄い唇がすっと開いてカップに寄せられる。眼が伏せられ、紺碧の瞳が長い睫毛に半分ほど隠された。

 絵に描いたような美麗な姿に視線が吸い寄せられてしまう。

 すぐに正気に返り、まゆこも慌ててカップに口をつけて飲んだ。
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