不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 ジリアンと二人だけになる。

 控室と銘打ってあるが、王城で用意される居室とさほど変わらない広さと豪華さだ。

ソファやテーブルはもちろんある。仮眠もできるようなベッドも用意されていた。

 暖炉もあるが、燃えているのは魔法の焔だ。王城の外だから、魔法も自由自在に使えるのかと納得した。

 ジリアンは紫紺のズボンと黒の短ブーツ、濃い青のTシャツのようなものを着ている。ただし、半袖だ。

 左胸に革と金属でできた黒の胸当てをつけている。伸びた先が背中で交差していた。

「ずいぶん軽装なのね。……寒くないの?」

「寒くはない。見えないだろうが、身体の周囲に薄い膜のようなものが張ってある。障壁の個人用だな。衝撃にも耐えられるし寒暖も防げる。……ある程度は」

「強い攻撃を受けたら破られてしまうのね」

「そういうことだ。外に出るときは一応上着も着る。あれだ」

 ソファの端の方に掛けてあるのは、ライダースジャケットのような黒い革の上着だった。厚手なのは見て分かる。寒さ対策で襟元に毛皮があしらわれていた。
< 249 / 360 >

この作品をシェア

pagetop