不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 第一戦が終了した。

 第二戦は、負けたダレルとゲオルグだが、休憩時間が取られる。

負けた側は負担が大きい。それは、国王になる者は最強でなくてはならないからだ。弱い者では、障壁の修復ができないから。

 ジリアンもダレルと共に闘技場から退出した。係りの者が大勢出てきて地ならしが始まる。

 エルマが後ろから近寄ってきた。

「マユコ様、バーンベルグ家の待合室へ行きましょう。こちらよりも暖かいですよ」

「それほど寒くもないから、ここにいます」

 心の中が嵐のようになっていて、場所を移動してゆっくり休む……などという気分にはなれなかった。まゆこは振り返って他の面々を見る。

「皆は待合室へ行ってもいいのよ」

 エルマが首を横に振る。

「まさか、あなた様をお一人にはできません。わたしもおります。なにか温かな飲み物でもお持ちしましょうか」

「ほしくないわ。なにも喉を通りそうもないの。ね、ルース。あなたもここで待機しているつもりなら、教えてほしいことがあるんだけど」

「マユコ様がいらっしゃるのですから、私も当然ここにいますよ。教えてほしいこととは、なんですか?」

「闘技に勝利できたら、すぐに北へ行くってジリアンは言っていたわ。障壁にかなりたくさんの穴が空いているからって。そうなの?」

「そのようです。魔法士が幾人も王城から派遣されていますが、次から次へと魔物が現れて被害はとどまりませんね。穴を塞がない限り、田畑は荒らされ、家畜は食われ、木々が枯れ果てます。なにも残りません」

「世界を食い尽くしてゆくのね」

 まるでイナゴ。否、イナゴのような侵略者だ。
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