不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 ルースはことさら明るく言う。

「ジリアン様ならきっとやり遂げられます」

 ぎょっとした。彼が一人でやることが前提なのかと。それほど魔法力に差があるということなのだろうが、それにしても丸投げなのか――と。

 下を向いた。両手を握りしめて、自分の考えに深く沈み込む。

 休憩時間が終了する前だったが、喧騒が一段と大きくなった。

 まゆこは、はっとして顔を上げると闘技場へ目を向ける。ジリアンとゲオルグが両端の通路から出てくるところだった。

「え? 次はゲオルグ様とダレル様ではなかったの?」

「さて。どういうことでしょうか」

 闘技の世話役となっているフォンダン家の者が中央に出て、闘技場に響き渡る《ヴォイス》の魔法で告げる。
< 280 / 360 >

この作品をシェア

pagetop