不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 炎を防ぐだけで精いっぱいになってきたジリアンが片手を上に向ける。

 優劣が一変した。

 ひゅぅー……と空の上から風を切る音がする。

 他の者と同じようにまゆこも首を反らして空へ視線を向けた。

 すさまじい数の氷の柱が降ってきた。ざざざ……と地上に刺さってゆく。観客席には落ちない。監視者を貫くこともない。コントロールされている。

 ゲオルグの周囲に次から次へと降り注ぐ。焔の生成が間に合わなくなってくる。どんどん降った。

「こ、の、――っ、ジリアンっ!」

 視線を闘技の場へ移すと、ジリアンが低い位置を矢のように飛んでゲオルグを目指している。

 氷の柱が落ちてくる中を縫うようにして跳ぶ。柱を目くらましにして、至近距離まで跳んでいた。ゲオルグの目の前に迫る。
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