不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 ジリアンの拳がゲオルグの腕に向かう。ゲオルグは右手を出してそれを受ける。ゲオルグにしてみれば、接近戦が最初からの望みだった。

 炎を出す魔法陣が爆発を生み出したが、同時に、ジリアンの手が氷結を繰り出す。

 二つの力が拳を打ち合わせたときにぶつかり、接触したままで魔法力が最大限まで上がった。

 最後は己の生命力まで使ってぶつかり合う。

 互いの発するエネルギーが互いの力を打ち消す。闘技場の土や雪が舞い上がり、ジリアンの氷の柱が瞬時に蒸発してゆくときの白い水蒸気で、対戦者二人の姿が見えないほどになった。
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