不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 答えないジリアンに向かって、ゲオルグは笑い掛ける。

「次は、一番先に背中を焼くことにしよう」

 知られると弱点になる。

 機嫌が降下したジリアンの様子を満足げに眺めたゲオルグは言う。

「つまり、だ。マユコがおまえの〈ただ一人愛する者〉なんだな。自覚した時点で、バーンベルグ家の男子に掛けられた呪いは成就されて、力の開放に繋がったってことだな。恐ろしい呪いだとは聞いていたが、誰にとっても恐ろしいな」

 地面に座り込んだ男は子供のように笑った。ジリアンは胡散臭そうな目でゲオルグを眺める。ジリアンは呆れ半分で軽く肩をすくめた。

「結局、バーンベルグ家の呪いを、他家の連中はよく知っていたというわけか。長く付き合ってきただけのことはある。だからマユコを奪おうとしたのか?」

「奪いたいのは、ほしいからだ。好きという以外に理由があるか」

「……そうか。そうだな」

「どこで見つけた。俺の情報網には、出自が掛からなかった」

 なにも答えずに、ジリアンはわずかに笑う。ゲオルグはそういう彼を見たことがなかったので驚いた顔をした。
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