不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「種は落ちている。雪の下で眠っているだけ」

 ルースはまゆこの考えに気が付いて、こちらへと一歩踏み出した。

「マユコ様。あなた様の魔法は、魔法陣を必要としない代わりに、己の中の力をどんどん使ってしまうと言われたではありませんか」

「ゆっくりやればいいわ。ゲオルグ様。わたしを北へ飛ばしてください。ジリアンの元へ」

 鋭い眼でまゆことルースを眺めていたゲオルグは、言い募られて天を仰いだ。そうしてまた深くため息を吐いてから、彼女に向く。

「北は遠い。事故がおこるかもしれん」

「なんとか、お願い」

「魔法陣なしというのは恐ろしく異質だぞ。障壁に近い場所では、おまえの魔法は上手く発動できないかもしれん。逆に暴走する危険もある。それでも行きたいか?」

 強く頷いた。

「……仕方ない。やってやるか」

「わたしもご一緒します」

 その場のやり取りをずっと聞いていたエルマが進み出た。ルースも声を上げる。

「私も行きます。バーンベルグ家の者ということで、まとめて送ってください」

「魔法力がなくては生き残れん場所だが、いいんだな」

「はい」
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