不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 ゲオルグはため息の三連発を零してから、すぐに始めた。

 ルースは馬車の御者に口止めと、王城へ戻るよう言い含めた。エルマは、自分の棒を握り締めてまゆこの隣に立つ。まゆこの右がエルマ、左がルースだ。

 彼ら三人を中心にして、ゲオルグの魔法陣が構成されてゆく。

 長距離の空間跳躍であり、しかも三人は難しいと言いながら、彼は額に汗を浮かべて魔法を形作る。

「闘技のあとで、こういう重労働をさせられては寝込んでしまうな。なぁ、まゆこ。礼代わりにおまえのマフを俺にくれ。テオが持ってきたんだが、好い匂いがするんで返せなかったんだ。おまえの、ほらマグノリアみたいな匂いだ」

 まゆこの頬が上気する。

 ――匂い? 匂いって……。いいひとだけど、ヘンタ……。

「わたしの所有物ではないのでジリアンに聞いてください」

「はは……殴られるな。ジリアンには、やり遂げろと言っておいてくれ」

「はい。ありがとうございます。ゲオルグ様」

「マユコ。俺がお前を好きだってことも、忘れてくれるなよ」

「はいっ」
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