不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 ルースが感嘆した声で言う。

「マユコ様の魔法は本当に特殊です。驚きですよ」

 エルマが注意する。

「でも、それは――使い続けてはいけません。マユコ様のお命に関わってきます」

 エルマがまゆこの肩を支えながら歩く。彼女は心配でたまらないといった貌をまゆこに見せていた。

「行くしかないわ。そうでしょう? どのみち、ジリアンと合流しなければ、誰も戻れない」

 王城に戻れない。いまとなっては懐かしいようなバーンベルグ城へ帰れない。

 ――わたしが帰る場所は……。
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