不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 顔がかっかと熱くなってくるので、まゆこは慌てて別の話題をふった。

「魔法の力ってすごいのね。見えない壁を造って話し声を遮断するなんて」

「そうか? 生まれたときから使っているから、私には当たり前に働く力だ」

「誰でも使えるの?」

「バーンベルグ家の者は特別だ。他にも特別な家はあるが少数だな。市井の者や下位の貴族は、ほとんど魔法力を持たない。昔は大量にいた流れの魔法士も、名前を知られるほどの者はいまや数人に過ぎないし、居場所も分からない」

 庶民に魔法の力はほとんどなく、貴族も家によって違うということは。

 ――魔法の力は遺伝するのかしら。

 まゆこの知識にある〈貴族〉は、地位の安泰や、財産の分散を防ぐために血筋を大切にする。

 血脈によって得られる魔法の力も財産と同じ扱いになるなら、家の存続は重大事だろう。
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