不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
一息おいてから、彼は端的に答える。
「簡単にはできない」
「それは、困る! 家族が心配する。ラボだって、休むわけにはいかないのに!」
「家族……。ラボ?」
「職場よ。侍女さんや侍従さんたちにとって、この城は働く場所でしょう? わたしも働いているのよ。休めないんだから。ジリアン、こちらへ引き入れた責任を取って、ちゃんと戻して!」
「帰るときは、こちらへ来たときの〈時〉と〈場所〉と〈状態〉に戻る。だから、生活は無理なく続けられるはずだ。ただし、こちらですごした分の年月は自分の内側に蓄積されるから、自分自身の年齢は上がることになるが」
「……いまから帰すこと、できる? 何十年もあとになったら、同じときに戻っても意味がないわ。それじゃ浦島太郎よ」
「ウラシマ……なんだそれは。とにかく、〈すぐに〉というわけにはいかない。状況が整わないと無理だ。たとえ整っても同じ方法では危険が伴う。だから、危険がない方法を探して、それからになる」
「危険? じゃ、できないってこともあるの?」
どういう顔をしていたのだろう。泣きそうだったかもしれないし、怒ってしまいそうでもあった。彼の胸元を両手で掴んで揺さぶりたい。
「理論的にはできる。マユコが現れたことがすでに奇跡のようなものだったが、おまえが帰りたいと言うなら、必ず、無事に、安全を確かめてから帰す。呼んだのは私だ。責任は取る」
「簡単にはできない」
「それは、困る! 家族が心配する。ラボだって、休むわけにはいかないのに!」
「家族……。ラボ?」
「職場よ。侍女さんや侍従さんたちにとって、この城は働く場所でしょう? わたしも働いているのよ。休めないんだから。ジリアン、こちらへ引き入れた責任を取って、ちゃんと戻して!」
「帰るときは、こちらへ来たときの〈時〉と〈場所〉と〈状態〉に戻る。だから、生活は無理なく続けられるはずだ。ただし、こちらですごした分の年月は自分の内側に蓄積されるから、自分自身の年齢は上がることになるが」
「……いまから帰すこと、できる? 何十年もあとになったら、同じときに戻っても意味がないわ。それじゃ浦島太郎よ」
「ウラシマ……なんだそれは。とにかく、〈すぐに〉というわけにはいかない。状況が整わないと無理だ。たとえ整っても同じ方法では危険が伴う。だから、危険がない方法を探して、それからになる」
「危険? じゃ、できないってこともあるの?」
どういう顔をしていたのだろう。泣きそうだったかもしれないし、怒ってしまいそうでもあった。彼の胸元を両手で掴んで揺さぶりたい。
「理論的にはできる。マユコが現れたことがすでに奇跡のようなものだったが、おまえが帰りたいと言うなら、必ず、無事に、安全を確かめてから帰す。呼んだのは私だ。責任は取る」