不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「マユコ。おまえはどういう状況のときにこちらへ来たんだ?」

「道を歩いていて躓いたら……。転ぶ途中で、宙にいきなり口みたいのが開いて呑み込まれたのよ。浮き上がって出たところがあのホールだった。そういえばこちらに来る直前、光に包まれたわ。あれは魔法の光だったのね」

「魔法の光? 確かに魔法陣は力の波動で光る。それは仕掛けた側に魔法陣があるからだと思うが。異世界では違うかもしれないな。本当に躓いただけなんだな?」

「そう。あのとき、あの場所に戻れるなら、躓いて転ぶ途中で戻ることになるから、そのまま転んじゃうわね。それでもいい。帰らないと」

「躓いて転ぶ……だけ、なのか? 本当に?」

 どうして何度も同じことを聞いてくるのだろう。不安を感じつつも、まゆこはしっかり頷いた。

「そうだけど。わりとはっきり覚えているのよ。躓いたってことは」

「……そうか。マユコは帰りたいんだな?」

「えぇ」

「分かった。帰してやる。無事に。約束する」

 ジリアンは考える素振りを見せながらも約束してくれた。
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