不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 本人の許可なく仕掛けてきたのだから、まゆこの要求は当然であり、良識があるなら元へ戻すのは当たり前のことだ。

 それでも、まゆこにはその言葉だけが頼りだった。不安は拭いきれない。

 確約をくれたあと、ジリアンは無言で彼女を見つめる。長々と見つめてくる。なにを考えているのか少しも窺えない。

 視線が次第に強まり、いたたまれなくなったまゆこはもぞりと居住まいを正した。

 ここはやはり、別の話題へいくべきだろう。どちらにしろ、訊きたいことはたくさんある。

「ジリアンはわたしのことを前から知っていた? 狙って引き込んだの?」

「マユコ個人を指定したわけじゃない。幾つかの条件を並べて合致する者を呼んだ。召喚できるかどうかは、針の穴と同じ太さの糸を通すほどの可能性だったが、マユコは来た。……――まさか現れるとはな。不思議なくらいだ。驚いた」

「引き込んでおいて、成功したのが不思議だとか、驚いたとか言われても」

「すまない」

 まゆこに向けられていたジリアンの目線が下がり、悪いと思っているのがひしひしと伝わってきた。
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