不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 まゆこはこくりと喉を鳴らし、目をぱちぱちと瞬かせながら、あらためてジリアンを眺める。

 この男は家を背負い、やがては国を背負う可能性を持つ者。

厳しい顔つきになるのも、冷たく誰も寄せ付けない雰囲気を持つのも仕方がないと思えた。

「わたしには魔法力なんてないわ。具体的な力で人と戦えるような技もない。どんな条件を並べて呼んだの? 召喚をしたのはなぜ?」

 説明を聞けば聞くほど不安が増大する。

 カップには、冷めても飲める味わい深いお茶が残っている。お菓子も用意されていたが、手を伸ばす気にはなれい。

 そろそろ太陽が西に隠れそうだ。

夕方から夜に向かうこの時間帯は、黄泉への道が近い。
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