不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
寝室の両扉の前を通り過ぎ、まっすぐ廊下を行くと片扉がある。それも過ぎたあとの大扉の前で、ジリアンはやっと足を止めた。彼が扉を開く。
寝室の大扉の前には二人の衛兵が立っていたが、こちらはいない。
中はかなり広かった。ベッドはなくその替わり、大小の書籍で埋まった大ぶりな本棚が壁に長々と張り付いていた。
両袖机と革張りの椅子もある。ここはまさしく書斎だ。
ジリアンは、部屋の中央に設置されているソファセットのところへ彼女を誘導した。
「マユコ専用の書斎だ。本はどれを見てもいい。声を遮断する魔法陣がこちらにも敷いてあるから、話し声は外に漏れない。一か月ほどは消えない魔法陣だ」
「……」
「……マユコ、聞いているか? 疲れているのか。……無理もない」
「あ、聞いてる。ぼぅっとしていてごめんなさい。緊張しているだけだから」
思わず背筋を正す。
「緊張? 危害を加える気はないぞ」
「驚きの連続で落ち着かないだけ。なにが起こるか分からないから、怖いと思う気持ちもあるの。初めて入る新しい部屋というだけで、少し硬くなるのよ」
先ほどの『一人』という言葉が頭の中で回っていたから、とは言えなかった。
寝室の大扉の前には二人の衛兵が立っていたが、こちらはいない。
中はかなり広かった。ベッドはなくその替わり、大小の書籍で埋まった大ぶりな本棚が壁に長々と張り付いていた。
両袖机と革張りの椅子もある。ここはまさしく書斎だ。
ジリアンは、部屋の中央に設置されているソファセットのところへ彼女を誘導した。
「マユコ専用の書斎だ。本はどれを見てもいい。声を遮断する魔法陣がこちらにも敷いてあるから、話し声は外に漏れない。一か月ほどは消えない魔法陣だ」
「……」
「……マユコ、聞いているか? 疲れているのか。……無理もない」
「あ、聞いてる。ぼぅっとしていてごめんなさい。緊張しているだけだから」
思わず背筋を正す。
「緊張? 危害を加える気はないぞ」
「驚きの連続で落ち着かないだけ。なにが起こるか分からないから、怖いと思う気持ちもあるの。初めて入る新しい部屋というだけで、少し硬くなるのよ」
先ほどの『一人』という言葉が頭の中で回っていたから、とは言えなかった。