誰からも愛されない

✛✛凪と涼


その頃 凪は、
彩心の父である
涼と会っていた。

その時、涼の携帯に皐から連絡が入り
彩心は、やっと落ち着いて
今眠ってしまったと。

それと、彩心の離婚協議の時の
話しもしたから、と。

「話したんだ。」と、思いながら
伝えたとしても
あの子に届く事はないだろう。
俺が、何年も何十年も苦しめて
来たのだから。

涼は、凪に
「あの子は、俺が近くにいると
発作と言っても良いと思うが
ああなるんだ。
そして必ず皐さんに助けを求める。

皐さんじゃないと
そんな彩心を癒せないんだ。

自分の血を····分けた子なのに······

あの子が、産まれてきてから
一度も抱いたこともない
ましてや話しかけた事すらないんだ。
俺は。
ひどい親だろう。」
と、言うと
「そうですか。
俺も小さいときから親父と一緒に
何かをしたとか、ないし
親父との思い出はありません。
ですが、母親がいてくれて
兄姉がいたから寂しいとか
思った事はありません。
だか、一人だった彩心さんの
気持ちはわかりませんが。」
「兄妹か?いたら彩心も
違っていたかもしれないね。
所で、秋山氏は、なぜ彩心に君を?」
「はっきり言われていませんが
俺達三人の誰かを彩心さんが
気に入ってくれたら・・・と
思って入る感じでした。」
「三人?」
「はい、次男の忍と俺と従弟の楓です。」
「えっ、忍氏も。」
「兄は、父親と彩心さんと
三人で何度か食事をしているようです。
あの見合いを片っ端から
断っている兄が。」
と、言うと
涼は、秋山の入る世界に
彩心が馴染めるのか
心配だったが・・・
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